
ご利用者と感情を共有できた瞬間が何よりもうれしい
高橋 実那

2025年入職 富士作業所(2025年8月インタビュー)
趣味:ショッピング、1日1万歩の散歩という名の迷子
現在担当されている仕事は?
また、仕事をする上で一番大切にしていることは?
現在は、富士作業所で製造しているパンの販売や納品作業に取り組むご利用者の支援を主に担当しています。ご利用者の多くは私よりもずっと長く富士作業所で働いている方ばかりなので、常に付きっきりで関わるというよりは、少し距離を保ちながら「見守る」ことをしています。
仕事の中で一番大切にしているのは、ご利用者の小さな変化に気づくことです。私たち自身も日々同じ気分で過ごすことは難しいですが、特に精神に障がいのある方は周りの空気を敏感に感じ取りやすく、ちょっとしたことが負担になることもあります。だからこそ、日々のやりとりの中で、言葉や表情、行動のちょっとした変化から、その人の“今”を感じ取ることを大事にしています。まだまだ経験が浅く気づけないことも多いですが、先輩職員のアドバイスをもらいながら、少しずつ「その人に合った声かけ」や「寄り添い方」ができるようになりたいと思っています。
失敗談や成功談、やりがいを感じたエピソードを教えてください
ご利用者と嬉しいことや楽しいことを分かち合えた時に、 “通じ合えた”と感じてやりがいを感じます。特に販売先などで商品が完売したときや、ご利用者自身がおすすめした商品をお客様が手に取ったとき、売り上げが凄く伸びていたときなど、作業中に起きた小さな変化に対して、ご利用者と感情を共有できた瞬間が何よりもこの仕事をしていてよかったと感じます。
ある日のスケジュール
補足:毎週月曜は午前中に利用者会と事業所内清掃クリーンデイを隔週で交互に行っています。
今後の目標や、どのようなキャリアプランを思い描いていますか?
正直に言うと、まだ「これがやりたい!」というはっきりした目標は思い描けていません。今は与えられた仕事をこなすことが精一杯で、毎日ついていくのに必死です。しかし、チャレンジをする機会として新人研修の一環で行われる「法人内事業所見学ツアー」で、私が富士作業所の案内を担当することになりました!まだ入職して1年も経っていないので正しく案内ができるか不安もありますが、この機会を通して自分自身ももっと富士作業所のことを理解して、どんな方にもその魅力が伝えられるようになりたいと思っています。
今は目の前のことに向き合いながら、少しずつ自分の役割を広げていけたらいいなと思っています。
福利厚生や研修制度など、あって良かったと感じる制度はありますか?
月に1〜2回ある新人職員向けの研修に参加しています。働き始めた当初は分からないことばかりで不安もありましたが、研修を通して少しずつ理解が深まっていると感じています。
中でも印象に残っているのは、「障害福祉サービスのお金の流れ」の研修です。ご利用者の作業や製品の販売が事業所の収益になり、それが工賃や支援の質にもつながっていく――こうした仕組みを知ることで、自分の支援がどこに結びついているのかをより深く考えられるようになりました。
現場での支援は、教科書だけでは分からないこともたくさんあります。まちのひの職員が講師となって、実務に則した話を聞ける研修があるのは本当にありがたいと感じています。
あなたが感じるまちのひの魅力や職場の雰囲気を教えてください
私は業務で、他事業所の職員と会うことが多いのですが、まちのひの職員は本当に誰もが気さくで、よく声をかけてくれます。最近、業務を一人で担当するようになったこともあり、励ましの言葉をさまざまな方からかけてもらえてとても嬉しく感じています。特定の人だけが優しいわけではなく、どの職員も自然に声をかけてくれる。それは、まちのひの職員同士の間にいい意味で上下関係を感じさせない空気があるからこそと思います。お互いを対等な立場で尊重し合い、同じ目線に立って関わろうとしている姿勢をとても感じます。
ご利用者も「みんな初めは新人からスタートしている。いきなり上司として始まる人なんていないからね。」とよく私に声をかけてくれます。新人でも、誰でも、同じ目線で言葉を交わせる。そんな関係が自然に築かれていることが、まちのひの魅力だと私は思います。
職場の雰囲気を教えてください
職場の雰囲気は、とても柔らかくてあたたかく、どのご利用者にもちゃんと一人ひとりに光が当たるような、対等な関わりがさまざまな場面で大切にされていると思います。例えば、隔週で行われている「利用者会」では、富士作業所で働くご利用者が中心になって意見交換をする時間があります。職員が用意した議題についてみんなが意見を出せるように職員がしっかりサポートしています。そういう経験の積み重ねが、ご利用者の「ここで働きたい」という気持ちや向上心につながっているのでは、と最近感じるようになりました。職員にとっても同じで、チャレンジできる機会や成長を実感できる場面がしっかりあります。職員同士の関係もすごくフラットで、上下関係を変に意識するような堅苦しさはほとんどありません。だからこそ報告・連絡・相談もしやすく、そこに対してちゃんと振り返りの時間もある。そういう環境は、あまりないことだと思っています。
まちのひに出会えて、富士作業所に入職できて、本当に良かったと今でも心から思っています。
まちのひに入職を希望した理由を教えてください
大学で福祉について学ぶ中で、特に障害福祉に関心を持つようになり、障がいのある方々の生活を支える仕事に就きたいと考えるようになりました。就職するにあたって、学生時代に実習で訪れた地域ではなく、自身にとって新しい土地で挑戦したいという思いがありました。そうした中で「福祉のまち」とも呼ばれる町田に足を伸ばし、社会福祉法人まちのひを発見しました。
ホームページに掲載されていた職員インタビューでは、日々の業務に対するやりがいやご利用者との関わりの中で感じる楽しさが伝わってきて、「自分もこの職場の一員として働きたい」と強く感じました。また、実際に説明会に参加し、事業所の見学や職員の方々の話を聞く中で、現場の雰囲気がとても明るく、ご利用者と職員との関係性にも温かさを感じたことが決め手となり、迷わず入職を決めました!
入職前に抱いていたイメージとのギャップはありましたか?
入職して感じたギャップは、ご利用者の作業に職員がずっと付きっきりではないということでした。学生時代に実習で支援をしたときは、主に知的障がいのある方が多く、常に側について支援するのが当たり前という感覚でした。他方、富士作業所の精神障がいのあるご利用者の場合は、あまり近くで見守りすぎると「監視されている」と感じさせてしまうことがあると知り、入職してから考え方が変わりました。
今は富士作業所にある「ベーカリーひあたり」の開店準備(レジ周りの清掃、窓の拭き掃除等)や販売作業(会計作業、売り上げ確認等)の支援中、私自身も別の作業をしながら見守るようにし、なるべくご利用者にプレッシャーを与えないよう意識しています。そういった“ちょうどいい距離感”も、日々学びながら支援に活かしていきたいと思っています。
選考中に不安だったことはありましたか?
事業所見学のときの職場の雰囲気がとても良く、予定にはなかったのですがその場で一次面接を受けることにしました。ただ、面接の練習を全然していなかったので、直前になってすごく不安になったのを覚えています。実際の一次面接で聞かれたことは基本的な内容で、堅苦しい感じもなく、自然な気持ちでお話しすることができました。その経験から「絶対にまちのひで働きたい!」という気持ちがより一層強くなり、二次面接に臨みました。合格の連絡が来るまではずっと緊張していたのですが、二次面接で話した私自身のことに触れた内容の通知が届いて、本当に嬉しかったです。
まちのひで働くことに興味がある方へ、
メッセージやアドバイスをお願いします
私は福祉系の学部出身だったのである程度の専門知識はありましたが、同期には福祉のことをほとんど知らずに飛び込んできた人もいます。でも、まちのひの職員は本当に優しく、「わからないことは何度でも聞いて」と言ってくれる方ばかりなので、安心して働けています。「専門知識がないと難しいかも・・・」と心配しすぎる必要はありません。入職後には研修も定期的にあるので、働きながら学びが深まっています。最初は不安でも、気づいたら知識も自信もついてくると思います。私もまだ入職して1年経っていませんが、これからもっと成長して、いずれは誰かを支えられる職員になりたいと思っています。
これを読んでくださっている皆さんと、まちのひでお会いできる日を楽しみにしています!